睡眠でうつ病を克服する

お客様の中には、家庭内でも職場でも特に悩みを抱えているわけでもなく、際だった睡眠障害を訴えていたわけでもないのに、うつ病を発症する人がいます。中には自殺にまで至つた人もいます。

そんな知らせを聞くと大変驚き、お役に立てなかつたことを残念に思います。

うつ病の人は、本人の自覚がなくても明らかに睡眠障害なのです。

眠りがうまくいかないと代謝や内分泌もうまくいきませんが、うつ病は、脳内に内分泌される「セロトニン」の働きが鈍化することが原因と言われています。これは、同じく神経物質「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」を制御する役割を持っています。セロトニンが調整しながら心の安定を保っています。このセロトニンをうまく機能させるためには、簡単に言うと「太陽の光、適度な運動、規則正しい生活」が必要なのです。

この3つの要素は、「質の良い睡眠のための必要条件」です。つまり、これらをきちんと取り込んでいれば、良い眠りを手に入れることができるわけです。

8時間睡眠の必要性

睡眠時間は必ずしも8時間の必要はないと思います。

夜に眠る長さは、一般的には8時間が理想的とされています。ただ、現代の日本で8時間睡眠がとれる人ばかりではありません。人間には、どのくらいの長さの眠りが必要なのでしょうか。

私は、どうしても8時間眠る必要はないと考えています。それょりも大切なのは、寝付きにスッと睡眠に入っていけたり、夜中に何度も起きたりしないということ。これが良い眠りの目安だからです。次の日の仕事に支障を来さなければいいのです。

睡眠中には、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れます。この周期をうまく使えば、短時間睡眠でもさわやかに起きられるといぅ説もあります。

睡眠障害の症状

しつかり眠れないと肉体的にも精神的にも疲れが残る。

疲れがとれないとやる気が出ない。

やる気が起きないから体を動かさない。

運動不足が血流障害を起こす。

元気なときに比べて信じられないほど弱る。

そうすると不安感が出てくる。

心の病気は脳の血流障害と言われています。血流が滞ると好奇心もなくなり、したいもの欲しいものもなくなる。行動範囲も狭まる。ますます体力も落ちて家から出なくなる。自分を巡る周囲がどんどん小さくなっていく。この惡循環にはまり込むと、抜け出すのにさらに大きなエネルギーが必要となります。

結局、よく寝ることが大切なのです。

睡眠と体温

体温が低いと脳の睡眠中枢に血液がいかず、睡眠障害を起こしやすいこともあります。また、夜中に目觉めやすいのも低体温の人の特徴です。これは、眠っていて体温が下がりすぎないように、頻繁に替告を発するせいでもあります。

これらの事象からも、良い睡眠にとって適切な体温を保つことがいかに大切か、よくわかります。

体温を上げるためには'眠りにつく前に体を十分温めることが必要です。

よく言われるように、辊る前の入浴は体を温めるのに有効です。この際、熱いお風呂に短時間入るより、体温より少し高い38〜39度のお風呂に20分ほどゆつくり浸かることです。おへそのあたりまでのお湯に浸かる半身浴はより効果的です。

また、日中には適度な運勋を心がけること。激しい運動でなくてもいいのです。通勤,通学のときに歩くことくらいで十分です。あるいはエレベーターを使わずに階段を歩いて上がる程度でもかまいません。車で移動せずに自転車や徒歩に切り替ぇるなど、日常的な習惯の積み重ねが大切です。

出産後の睡眠

出産後も、授乳期から幼児期にかけて、夜眠るときにたいていは子どもに添い寝をすることになるでしよう。ぐずったらあやし、しつかりと抱き合い、ときには添い乳をする……お子さんが成長していく上で、とても大切なスキンシップの時間ではあリますが、こうして横向きで眠る習慣が身につくと、体は悲鳴をあげてしまいます。

体のラィンを決める鎖骨が、上から見ると弓なり状に湾曲することで、肺が縮まってしまいます。深く呼吸ができないので、体はどんどん冷え症になリます。自覚なしにこの状態がひどくなると仰向けになっていても、肩の下に手が差し込めるほど湾曲が進みます。そうなると、俗に四十肩と言われる手が上がらなくなったり、指先がしびれたりするような症状があらわれてしまうのです。

睡眠と体調の関係

すべての体調の不調の入口は、小さな変調です。もし該当するものがあれば、少しだけでも睡眠に意識を向けて、深刻な事態を未然に防ぐようにしましよう。

 

睡眠に関するいくつかの問題に該当する人は'寝姿勢に問題があリます。朝目覚めてしばらくの間'体のあちこちが痛いのなら、悪い寝姿勢によって体が悲鳴をあげていると考えて間違いあリません。1日中痛みが続く場合は、それがさらに進んで睡眠中の悪い姿勢が慢性化して日中の姿勢にまで影響している可能性があります。

 

睡眠問い合わせシートにチェックが入ったら、寝具が合っているか、適正な頻度で寝返りを打っているか、体に負担をかける姿勢で眠る癖がついていないか、確認する必要があリます。

 

とはいえ、睡眠中に自分の姿勢を意識することはなかなかできません。ネットの快眠に関する情報を参考にして、睡眠体操で正しい寝姿勢を体に覚えさせることで、正しい寝姿勢の癖づけをしてみてください。

眠れずに睡眠薬を飲む場合の注意点

睡眠薬の依存には身体依存、精神依存、あるいは両方認められることもあり、依存が形成されると、睡眠薬を飲まないと眠れない、だから続けて飲む、また用量が増えるという負のスパイラルに落ち込みます。そして、薬をやめると離脱症状(禁断症状)に襲われ、非常にイライラする、まったく眠れない、さまざまな自律神経症状に悩まされる、頭痛、めまいがひどい、といった訴えが多くなります。

いっぽう、用量は増えないのに睡眠薬を服用しないとがまんできず、実際に眠れないという「常用量依存」という現象が生じることもあります。

したがって、睡眠薬も他の薬と同様に'医師の処方通りに服用し、自分勝手に薬の量を増やしたり、薬をやめたりするのは厳に慎んでください。

さらに、睡眠薬のなかには「薬を飲んだあと、就寝しないと、服用後の記憶がいつさいなくなる」という種類の薬もあります。これは睡眠薬独特の記憶障害ですから、睡眠薬を飲んだらすぐに布団に入り眠る、という当たり前のことを必ず心がけてください。